建設業者が営業停止処分を受ける理由とその影響について
どんなことをしたら営業停止になるのかを知っておきたい、という建設業者の方は多いと思います。
知らずに取った行動が営業停止などに繋がるのは怖いですよね。営業停止などは事業の大きな損失に繋がるので避けたいところです。
今回は建設業法の監督処分について解説します。
どんなことが営業停止や許可の取消しの対象?
建設業法、入札契約適正化法などに違反すると行政庁からの処分を受ける恐れがあります。処分の対象となる事項は主に以下のものです。
建設業者が建設工事を適切に施工しなかったことで公衆に危害を及ぼしたとき、または危害を及ぼす恐れが大きいとき
建設業者が請負契約に関して不誠実な行為をしたとき
悪質で重大な手抜き工事や契約不履行などがあった場合は処分の対象となります。
会社やその役員、営業所長、支店長などが法令違反し、建設業者として不適当であると認められるとき
建設業法やその他の法令に違反すると処分の対象となることがあります。
一括下請けを請負わせたり、請負ったとき
建設業者は、その請け負った建設工事を、いかなる方法をもってするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない(建設業法第22条)
元請業者が工事に全く関らずに丸投げすると、責任の所在が不明確になること、また丸投げ業者が工事費用を受け取ることで不当に工事経費が高くなるという問題もあります。一括下請は非常に重いものとして禁止されています。一括下請けは、指示処分を飛ばして一発で営業停止や許可の取消しを受ける可能性もあるので絶対にやめましょう。
(参考:一括下請負の禁止について)
多数の人が利用する施設又は工作物(鉄道、道路、上下水道、病院 etc.)の重要な建設工事(共同住宅を新築する建設工事を除く)である場合において、元請業者が予め発注者より書面により承諾を得たときはこれらの規定は適用されません。
ただし、公共工事である場合は、どんな理由があっても一括下請は禁止です!
主任技術者または監理技術者の施工管理が著しく不適当で、変更が必要なとき
主任技術者または監理技術者は、工事の内容を十分に把握したうえで施工計画を作成し、適切な施工管理や従事者の指導監督をすることが責務とされています。この責務を果たせずに変更しないと工事の完成に悪影響を及ぼす恐れがあるなどと判断された場合には監督処分の対象となります。
無許可業者と下請け契約を結んだとき
無許可業者と軽微な工事以外の工事に関して下請契約を結んだときは処分の対象となります。下請業者が建設業許可を持っているか、その業種は適切かなどの確認が必要です。
無許可業者と下請契約をする場合は、500万円を超えるような契約変更が生じないように注意が必要です。
特定建設業者でない者が、発注者から直接受注した工事を下請金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)で下請契約を結んだとき
特定建設業者でないのに、特定建設業者しか扱えない工事の下請契約を結んだときは監督処分の対象となります。
特定建設業者には下請業者の保護と建設業者の適正な施工確保が求められており、一般建設業者よりも厳しい財産的基礎や専任技術者の要件が課されています。
営業停止中の業者と下請契約を結んだとき
営業停止中の業者と下請契約を結ぶことは処分の対象となりますので、自社が営業停止処分を受けると新たな工事をすることができなくなります。
監督処分には指示処分、営業停止処分、許可の取消し処分がある
監督処分には、指示、営業停止、許可の取消しがあります。通常、はじめは指示処分により是正を命じられますが、その行為が悪質であったり重大であるような場合には営業停止や許可の取消しの処分を受けることもあります。
(参考:不正行為に対する監督処分の基準)
- 指示
行政庁からのお叱りを受け、不適切な状態を是正するために取るべき措置を命じられます。 - 営業停止
1年以内の営業停止が命じられます。営業停止に該当したときや指示に従わないときに受ける処分です。 - 許可の取消し
不正行為の情状が特に重い場合は、一発で許可が取り消される事例もあります。また、専任技術者がいなくなったなど、許可の要件を満たさなくなったときも許可が取り消されてしまいますので注意しましょう。
営業の停止を受けると、最大で1年間は建設工事ができなくなります。そして、許可の取消しを受けると5年間は許可を取れなくなるという大変重いペナルティを受けます。自社のためだけでなく、発注者や社会への影響も考えて誠実な事業運営を心掛ける必要があるでしょう。
まとめ
今回は監督処分について確認しました。
深刻な人手不足で厳しい経営判断が求められているとは思いますが、処分を受けてしまうと取り返しのつかない状況に陥る恐れもあります。普段から相談できるような人を作っておくことは、適切な経営判断に重要と思います。