建設業法の罰則|懲役刑や罰金刑などを受けないように

    建設業には罰則があるのは知ってるけど、どんなことが対象なのか知りたい。そう思われている方はいらっしゃると思います。

    罰則になる要件を知らないと、思わぬところでペナルティを受けてしまう恐れがありますよね。悪質で重大と判断された場合は許可が取り消されることもあります。特に近年は法令遵守の意識が厳しいので、罰則を受けることで会社の信頼が失墜してその後の経営に大きな影響を与えてしまいます。

    今回は建設業の罰則について解説します。

    目次

    罰則の種類

    建設業法の罰則については第45条〜第55条で規定されています。その中から特に関係するものを抜粋してご説明します。

    3年以下の懲役または200万円以下の罰金

    登録経営状況分析機関またはその職員(過去に同職であった者)に対して賄賂を供与したり、供与の約束をした場合

    3年以下の懲役または300万円以下の罰金

    無許可業者が軽微な工事以外を行う

    建設業の許可がないのに500万円以上の工事を請け負うと罰則の対象となります

    ※建築一式工事の場合:1,500万円以上の工事又は延べ面積150m2以上の木造住宅工事

    特定建設業の規定に違反して下請契約

    特定建設業の許可がないのに、発注者から直接受注した工事を下請金額の合計が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)で工事を行なった場合

    営業停止処分中に建設工事

    営業停止処分を受けた後に新たに契約をして工事をすると罰則の対象となります。営業停止処分を受けると、処分を受ける前から締結していた請負契約の工事以外はできません。

    虚偽、不正の事実に基づいて許可を受けた者

    許可の申請時に虚偽や不正の事実(名義貸し、役員に暴力団関係者がいたなど)に基づいて許可を受けると罰則の対象となります。

    虚偽の申請は審査の過程でバレるようなシステムができあがっています。要件に満たない状態での申請は避け、要件を整えてから申請しましょう。

    6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金

    許可申請書やその添付書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者

    スクロールできます
    申請書添付書類
    商号又は名称
    営業所の名称、所在地
    資本金(法人)
    役員等(法人)の氏名、個人事業主の氏名
    専任技術者の氏名
    許可を受けようとする業種
    他に営業を行っている場合はその営業の種類
    工事経歴書
    直前3年の各営業年度における工事施工金額
    使用人数
    欠格要件に該当しないことの誓約書
    経営業務の適正な管理体制を満たすことを証する書面
    左記の申請書以外の書面で国土交通省令で定めるもの

    許可の申請時に提出するものに虚偽やミスがないように適切に、慎重に作成して提出しましょう。

    変更届を提出しない者、変更届に虚偽の記載をしてこれを提出した者、経管、専技の変更があったのに届出しなかった者

    変更届は定められた通り正しく提出しましょう。

    経営状況の分析、経営規模等の評価の申請書、その添付書類に虚偽の記載をしてこれを提出した者

    経営状況分析や経営規模審査の申請時の書類は、虚偽や間違いがないように適切に作成しなければ、罰則を受ける恐れがあります。

    100万円以下の罰金

    主任技術者又は監理技術者を置かなかつたとき

    専門技術者を置かなかったとき/専門工事を専門工事業者に下請しなかったとき

    土木工事業又は建築工事業者が、土木一式工事又は建築一式工事を施工する際に一式工事以外の建設工事を施工するとき(住宅工事の中の内装仕上工事、大工工事など)は、その工事に関し専任技術者で工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(専門技術者)を置いて自ら施工する場合のほか、当該建設工事に係る建設業の許可を受けた建設業者に当該建設工事を施工させなければなりません。

    この規定に従わなかった時は罰則の対象となります。

    営業ができない状況であることを注文者に通知しなかったとき

    許可切れ、営業の停止、許可の取消し処分を受けた場合は、許可がその効力を失つた後又は処分を受けた後、2週間以内に、その旨を建設工事の注文者に通知する必要があります。

    その通知をしなかったときは罰則の対象となります。

    経営状況分析または経営規模評価の規定による報告をしない、資料の提出をしない、虚偽の報告もしくは虚偽の資料を提出したとき

    経営状況分析または経営規模評価で規定された報告や資料の提出を怠ったとき、虚偽の報告もしくは虚偽の資料を提出したときは罰則の対象となります。

    国土交通大臣又は都道府県知事の立入検査を拒み、妨げまたは逃げたとき

    国土交通大臣又は都道府県知事は、特に必要があるときは業務などについて報告をさせたり営業所などの立入検査をすることができます。しかし、その報告をせず、又は虚偽の報告をしたときや、検査を拒み、妨げ、又は嫌がって逃げたときは罰則の対象となります。

    企業の役員や職員が違反行為を行ったときは、行為者だけではなくその企業にも罰金刑が科されます。法人の場合は最高で1億円の罰金刑という規定が定められています(建設業法第53条)。

    重いペナルティを受けないために役員と職員の資質の向上を常に図る必要があります。

    20万円以下の過料

    財務諸表等を置かない、財務諸表等に記載すべき事項を記載しない、もしくは虚偽の記載をし、又は正当な理由がないのに財務諸表の閲覧または謄写の請求を拒んだ者は罰則の対象となります。

    10万円以下の過料

    • 廃業届を怠った者
    • 正当な理由がなく調停の規定による出頭の要求に応じなかった者
    • 店舗及び工事現場に標識を掲げない者
    • 帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、または帳簿若しくは図書を保存しなかった者

    まとめ

    今回は建設業法の罰則について確認しました。

    懲役や罰金を受けると欠格要件に該当し、許可の取消し処分を受けてしまいますし何よりも社会的な信用を失ってしまいます。知らない間に罰則の対象となる行為をしてしまわないよう注意しましょう。建設業法に強い行政書士などに相談できるようにしておくことも一つの対策となると思います。

    許認可を専門とする行政書士がご相談をお伺いします。
    兵庫県尼崎市 いしの行政書士事務所 監修

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