【兵庫県】工事経歴書は自分で書ける?|記入例つきで失敗しない書き方

    兵庫県の建設業許可の工事経歴書を解説した記事のアイキャッチ
    石野享
    いしの行政書士事務所 代表
    前職では医療機器メーカーでの法令遵守業務を経験し、退職後は建設業専門の行政書士事務所で実務経験を積みました。これらの経験を活かし建設業者をサポートします。

    結論:工事経歴書は自分で作成できます。
    ただし、書き方を間違えると「許可が通らない」「やり直しになる」ケースも少なくありません。

    特に、一人親方や下請中心で仕事をされている方に向けて解説しています。


    💡 今すぐ書きたい方へ

    「細かい説明はいいから、すぐ書きたい」という方に
    工事経歴書のフォーマットをダウンロードできます。

    目次

    初めて許可を取りたい方向け、工事経歴書の記載例(兵庫県の手引き参考)

    工事経歴書は建設業許可の新規申請時の添付書類です。
    必ず作成する必要があるので、ポイントを押さえておきましょう。

    工事経歴書は、経営事項審査を「受ける場合」と「受けない場合」で作成方法が異なりますが、このページでは新規申請が前提なので「経審を受けない場合」の例を示します。

    兵庫県の記載要領に従って作成した工事経歴書(様式第2号)のサンプルを以下に掲載しています。

    工事経歴書の記載例

    経審を受けない場合の工事経歴書記載例

    業種(建築一式、とび・土工・コンクリート工事、内装仕上工事など)ごとに作成します。

    完成工事高の額が大きい順に元請と下請を分けず、それぞれの合計額や元請の額などを記載してください。兵庫県の場合は10件程度記載すればOKです。

    工事の実績がない場合(設立直後の場合など)

    工事の実績がなくても工事経歴書は必ず提出します。その場合は「新規設立のため実績なし」などと記載します。


    ※記載内容に不備があると、差し戻しや再提出になるケースもあります。「これで大丈夫か不安」という場合は、一度ご相談ください。

    「これで合っているか不安」という場合は、内容のチェックも可能です。

    よくある間違い

    工事経歴書の作成において、よくある間違いを紹介します。

    • 許可業種以外の工事を記載
      • 電気工事業なのに「空調機の工事」を記載するなど、異なる業種の工事を記載していませんか?
    • 工事名が雑(改修工事だけ、など)
      • 「〇〇工場改築に伴う外構工事」など、できるだけ具体的に記入してください。審査側は、本当に実績を積んできた人なのかどうかを見ています。特に、実質的に実務経験でしか取れないような「機械器具設置工事」の工事経歴書はじっくりと見られる傾向が強いです。
    • 税込と税抜が混在している
      • 経審を受ける方は税抜き、それ以外の方はどちらか一方で記載してください。
    • 500万円以上の工事を記載
      • 新規申請の場合は、無許可の状態なので500万円以上の工事は請けられないハズです。うっかり規制を上回る金額を書いていないかチェックしておきましょう。

    工事経歴書はいつ必要ですか?

    工事経歴書は、以下の通り多くの場面で作ります。

    • 建設業許可の申請のとき
    • 決算変更届のとき
    • 経営事項審査申請のとき

    特に、「決算変更届」は毎年の報告義務があります。
    5年分の提出を忘れると許可の更新ができないので注意が必要です。

    審査で見られるポイント

    違法性はないか

    新規申請の場合は、500万円以上(建築一式工事は1500万円以上)の工事はないハズなので、記載があると違法性を疑われ元請や発注元もともに処分を受ける恐れがあります。細心の注意を払ってください。

    取りたい業種と工事内容は合っているか

    内装の許可を取りたいのに、とびや電気工事などを記載していないでしょうか。基本的な事項ですがウッカリ見落とさないようにしてください。また、「建築と内装」「機械器具ととび」のように境目が曖昧なものもあります。本当に該当するかどうかの判断が重要です。

    工事に該当しないものを含めていないか

    清掃やメンテナンスなどは工事に含まれません。

    記載した内容が工事に該当するかどうかを確認してから記載しましょう。

    工事経歴書のフォーマットと各項目について解説

    記載例を見て作成してみようと思われた方は、工事経歴書のExcelフォーマットを建設業許可申請書等のダウンロードページからダウンロードしてください。

    フォーマットはこのような様式です。↓

    工事経歴書フォーマット
    クリックすると拡大表示されます

    ここからは工事経歴書の各項目について少し掘り下げて解説しています。下のブロックを展開するとご覧いただけますが、長くなるので不要な方は読み飛ばしてください。

    各項目の記載内容

    工事経歴書の各項目の記載内容

    1 建設工事の種類

    取得している建設業の業種名を記載します。業種ごとに分けて作成しますので、複数の業種を取得している場合はそれぞれの工事について作成します。

    2 税込・税抜の別

    税込・税別のどちらで記載するかを選びます。経営事項審査を受ける場合は必ず、税別を選んでください。

    経営事項審査を受けない場合は、税込・税別のどちらでも構いません。将来的に入札を検討されている方は、税別での作成に慣れていても良いのかもしれません。

    3 注文者

    法人の場合は法人名を記載します。

    個人の場合は、個人名が特定されないようにイニシャルなどを記載します。吉田さんからの発注の場合、「個人Y 」などと記載。

    4 元請又は下請の別

    行った工事が元請工事であったか、下請工事であったかを記載します。

    元請工事の場合は「元請」と記載
    下請工事の場合は「下請」と記載

    5 JVの別

    JVとして工事を請け負った場合は「JV」と記載します。JV全体の請負代金の額に出資の割合を乗じた額または分担した工事額を記入します。

    JVとして工事を行うのは、規模の大きな会社がほとんどで中小企業が該当することはほとんどないでしょう。

    共同事業体(ジョイント・ベンチャー、JV)とは、建設企業が単独で受注及び施工を行う通常の場合とは異なり、複数の建設企業が、一つの建設工事を受注、施工することを目的とする事業組織隊のことを言います。(国土交通省サイト

    6 工事名

    請負契約書等に記載されている工事名をそのまま記載します。工事名に個人名が含まれているときは、個人名をイニシャルに修正して記載してください。

    吉田邸内装仕上工事 → Y邸内装仕上工事

    7 工事現場のある都道府県及び市区町村名

    工事現場の都道府県と市区町村名を記載してください。

    8 配置技術者_氏名
    9 配置技術者_主任技術者/管理技術者

    配置技術者の氏名を書き、その人が主任技術者か監理技術者の該当する方に「レ」点を付けます。

    専任技術者は配置技術者になれない?

    専任技術者は営業所への常勤が求められています。よって、原則として専任技術者は配置技術者として工事現場に出られません。

    「一人親方」や「一人しか専任技術者がいない会社」は工事を請け負えないのでしょうか。この状況に対応するために特例が設けられています。

    以下の条件を満たす場合は、専任技術者が配置技術者として現場に入ることが例外的に認められています。
    (営業所に常勤しているものとして扱われる)
     ・専任技術者の常勤する営業所で請負契約が締結された建設工事であること
     ・工事現場と営業所が近いこと
     ・営業所と現場で常時連絡を取れる体制にあること
     ・所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること(出向者や派遣社員などは注意)
     ・工事の専任を要しない監理技術者等であること

    10 請負代金の額

    年度内に受注して完成した工事の額を記載します(未成工事も含む)。

    • ②の税込・税別に合わせて記載するように注意しましょう。
    • 1件の請負契約を分割して複数の工事として計上できません。
    • 新規許可業者は、ここに500万円以上の額は記載できないはずです。無許可業者の500万円以上の工事は業法違反です(建築一式工事でない場合)。

    記載する順番や数は後ほど詳しく解説します。

    うち(PC、法面処理、鋼橋上部) について

    ・PC
    対象:土木一式工事
    「プレスレストコンクリート構造物工事」がある時に「PC」に丸をつけて、「プレスレストコンクリート構造物工事」に該当する請負代金の額を記載。
    参考:PC、興亜建設株式会社

    ・法面処理
    対象:とび・土工・コンクリート工事
    「法面処理工事」がある時に「法面処理」に丸をつけて、「法面処理工事」に該当する請負代金の額を記載。
    参考:法面工事、Con Maga

    ・鋼橋上部
    対象:鋼構造物工事
    「鋼橋上部工事」がある時に「鋼橋上部」に丸をつけて、「鋼橋上部工事」に該当する請負代金の額を記載。
    参考:鋼橋上部、テオ株式会社

    11 工期

    年度内に受注して完成した工事の着工年月と、完成年月(未成工事は完成予定年月)を記載します。

    12 小計

    様式内(該当ページ内)に記載した工事の件数と、その完成工事高の合計を記載します。

    13 小計のうち元請工事

    様式内に記載した工事のうち、元請工事の完成工事高の合計を記載します。

    14 合計

    年度内のすべての完成工事(未成工事も含む)の件数の合計と、その完成工事高の合計額を記載します。

    15 合計のうち元請工事

    年度内のすべての完成工事のうち、元請工事の完成工事の合計を記載します。

    よくある質問(FAQ)

    工事経歴書は何年分必要?

    新規申請では、通常「直近1年分」の工事経歴書を作成します。

    また、決算変更届でも毎年提出するため、継続して作成・保管していくことになります。

    未成工事は書ける?

    未成工事も記載できます。

    予定されている請負金額や工期などを記載し、工事経歴書の下部へ記載するのが一般的です。

    軽微工事は記載する?

    軽微工事も工事経歴書へ記載します。

    軽微な工事しかない場合は、代表的な工事を数件〜10件程度記載するのが一般的です。

    元請と下請どちらを書く?

    元請工事も下請工事のどちらも工事経歴書へ記載します。

    予定されている請負金額や工期などを記載し、工事経歴書の下部へ記載するのが一般的です。

    配置技術者は誰を書けばいい?

    配置技術者の欄には、原則として「専任技術者」と同等の要件を満たす方を記載します。

    一人親方や専任技術者が1名のみの場合は、その方の氏名を記載するケースもあります。

    ただし、営業所技術者(配置技術者)は原則として現場へ専任配置できないため、工事場所や請負金額に注意が必要です。

    まとめ

    一人親方、下請契約の仕事をメインにしている方が新規申請を目指すときの工事経歴書について解説しました。

    工事経歴書は自分で作成できますが、細かい書き方や工事への該当性など判断が難しい部分も多く、再し戻しや再提出などの恐れがあります。

    「全部お願いするほどじゃないけど…」という場合でも大丈夫です。
    簡単な確認だけでもお気軽にご相談ください。

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