建設業許可に必要な書類と要件|申請前に確認したいポイント

    建設業許可の申請に必要な要件を行政書士が解説した記事のアイキャッチ
    石野享
    いしの行政書士事務所 代表
    前職では医療機器メーカーでの法令遵守業務を経験し、退職後は建設業専門の行政書士事務所で実務経験を積みました。これらの経験を活かし建設業者をサポートします。

    ✅ どうすれば建設業許可が取れる?

    ✅ 申請にはどんな書類が必要?

    ✅ 忙しくて手が回らない

    許可を取りたいとお考えの方、こんな疑問をお持ちではないでしょうか?

    建設業許可を取得するには6つの要件を満たす必要があります。許可申請では、申請者がそれらの要件を満たすことを書類で証明する必要があり、膨大な量の書類を準備しなければならず非常に大変な作業となります。

    この記事では、許可を取りたい方に向けて要件と必要書類をまとめて解説しています。

    目次

    建設業許可取得までの流れ

    建設業許可を取得するには準備段階を含め、一般的に以下の流れで進めます。まずは全体像をご確認ください。

    STEP
    要件を確認する

    STEP
    証明書類を集める

    STEP
    申請書類を作成する

    STEP
    管轄の窓口に申請する


    建設業許可の申請には、主に以下の書類が必要です。

    建設業許可申請の必要書類一覧

    スクロールできます
    分類主な書類
    経営業務の管理責任者(経管)決算書(確定申告書)、履歴事項全部証明書(法人)など
    専任技術者資格証、卒業証明書、請求書など
    財産要件決算書(確定申告書)、残高証明書など
    社会保険等健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書、労働保険料等納入通知書および領収書など

    この記事でわかること

    • 建設業許可の取得に求められる6つの要件
    • 建設業許可の申請に必要な書類

    建設業許可取得のための要件は6つ

    建設業許可の申請には、これらの要件を満たすことを書面で証明します。この書類集めが許可申請の大きな負担となります。

    経営業務の管理責任者の要件と必要書類

    経営業務の管理責任者とは

    経営業務の管理責任者は、建設業の人員や資材・材料、資金の管理など、建設業の経営に関する責任者です。

    建設工事は長期に及ぶことがあります。その間の運営を安定的に行うには、経験を通した様々な観点からの管理が求められます。そのため、建設業許可では一定期間の経営経験がある人を役員(事業主)等として設置することを要件としています。

    経営業務の管理責任者の要件について、詳細を以下の記事で解説しています。あわせてご覧ください。

    経営業務の管理体制を証明する書類

    建設業許可の申請で経営業務の管理体制を証明するには、「経営経験」と「建設業を営んでいたこと」を証明する書類が必要です。

    経営経験を示す書類

    スクロールできます
    役職書類の例
    法人の取締役履歴事項全部証明書
    個人事業主確定申告書(必要年数分)
    執行役員等取締役会議事録、辞令、組織図など

    「執行役員」は通常は規模の大きな会社にしかいません。一人親方や中小規模の会社では適用できない可能性が高いです(過去にゼネコンなどで役員クラスにいたなどの経験がないと適用は厳しい)。

    経営経験は組み合わせることができる

    経営経験は組み合わせが可能です。
    「法人の取締役」としての3年と、「個人事業主」としての3年間の経営経験を合わせて6年間で条件を満たすなどが可能です。過去の経験を洗い出してください。

    建設業を営んでいたことの証明

    役員になる人が「建設業を経営していた事実」を証明します。

    許可の有無書類の例
    許可業者建設業許可証、決算変更届など
    無許可業者請負契約書、注文書、請求書など

    過去に勤めた会社が「許可業者」であれば建設業許可証や決算変更届を、「無許可業者」であれば必要な年数分の請負契約書や注文書を収集します。

    過去の勤務先の協力が必要な場合、関係性が良好でないと書類が集められないこともありあます。

    経営業務の管理責任者の証明が、建設業許可取得の大きな山です。
    現場で経管になれるか無料で確認します。

    経営業務の管理責任者の常勤性を証明するための書類

    経営には、営業所に常勤し実地で受注状況や社員を管理することが求められています。
    常勤の事実の証明には、以下の書類を提出します。

    以下は、兵庫県の例です。

    • 雇用保険被保険者資格取得確認通知書
    • 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
    • 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書(新たに取得した場合)
    • 法人税確定申告書の役員報酬明細(法人)
    • 賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書
    • 健康保険証(有効なもの)

    健康保険証が廃止され、常勤性の証明に健康保険証が使えなくなりました。

    以下の場合、常勤性が認められないことがあります。

    • 給料(役員報酬)が低すぎる

    役員報酬が低過ぎる場合は、本当にその会社に勤めているかどうかが疑われます。10万円以上/月と一定の基準を設けている都道府県もあるため、事前にご確認ください。

    • 他社の役員を兼ねている

    常勤役員等が、他社の役員に就いていることもあると思います。この場合は、社会保険者証の事業所名が自社の名前であることを確認してください。

    • 他の法令で専任が必要な職種を兼任している

    例えば、専任の宅地建物取引士などに従事している場合は注意が必要です。

    経管に関するよくある質問

    出向社員でも経営業務の管理責任者になれますか?

    はい。出向社員でも条件を満たせば経営業務の管理責任者になることができます。

    申請時には以下の書類が必要です。詳細は窓口にでご確認ください。

    • 出向契約書
    • 出向協定書
    • 出向者の賃金の負担関係を示すもの
    • 出向元の健康保険被保険者証

    個人事業主の父親を手伝っていました。この経験で経営業務の管理責任者になれますか?

    条件によりますが、難しい場合が多いです。

    外見上は法人の役員のような立場であったとしても、個人事業の場合は「使用人の商業」が必要です。使用人の登記は、ほとんどされないため、質問の条件を満たすことは非常に困難でしょう。


    専任技術者(営業所技術者)の要件と必要書類

    専任技術者とは

    専任技術者は、営業所で建設工事に関する技術面を担当する責任者です。営業所ごとに専任で配置し、請負金額や工期など適正な工事契約を結ぶことが求められています。

    専任技術者になるには、業種ごとに定められた資格や実務経験などの各種要件を満たす必要があります。

    こちらの記事で、専任技術者の要件について詳しく解説しています。

    専任技術者を証明する書類

    専任技術者は、「専門の技術を持つこと」と「専任性」を証明する書類が必要です。

    「専門の技術を持つこと」の証明

    専任技術者の要件は、資格または実務経験で証明します。

    資格で専任技術者になるには、合格証や免許証の写しなどを提出します。

    対象書類の例
    資格合格証、免許証など
    実務経験建設業許可証、請負契約書、注文書、請求書など
    指定学科の卒業卒業証明書、履修科目証明書など

    実務経験での証明には、10年以上の経験を証明することが基本とされていますが、学歴と組み合わせることで必要な期間を短縮できる場合があります。

    実務経験短縮の例

    • 工業高校卒業者:5年以上の実務経験
    • 建設系の大学卒業者:3年以上の実務経験

    専任技術者の専任性を証明する書類

    専任技術者は専任が求められています。必要な書類は、経管の常勤性をとほぼ同じです。

    • 雇用保険被保険者資格取得確認通知書
    • 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
    • 健康保険・厚生年金被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知書(新たに取得した場合)
    • 法人税確定申告書の役員報酬明細(法人)
    • 賃金台帳、賃金支払明細書、所得税源泉徴収納付領収書
    • 健康保険証(有効なもの。事業所名が記載されたもの)

    健康保険証が廃止され、専任性の証明に健康保険証が使えなくなりました。

    「経営業務の適正な管理体制」「専任技術者」の2つを満たすことが許可取得の最大の山です。
    これがクリアできれば、建設業許可の要件はほぼ満たしたと言っても過言ではありません。

    まずは、これらの要件確認から進めていきましょう。


    財産に関する要件と必要書類

    工事は長期に渡ることが多いため、建設業者には一定の資金力が必要です。

    「一般建設業」と「特定建設業」では、求められる財産要件が異なります。

    スクロールできます
    許可の種類要件
    一般建設業以下のいずれかを満たせばOK。

    1.  自己資本の額が500万円以上:直近の決算書の純資産合計の額が500万円以上
    2.  500万円以上の資金を調達する能力がある:500万円以上の金額が記載された残高証明書を用意できるか
    特定建設以下のすべてを満たす必要がある。

    1.  資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上
    2.  欠損額が資本金の20%以下
    3.  流動比率75%以上

    特定建設業者には「下請の保護」が求められているため、一般建設業よりも厳しい条件が設定されています。

    財産的基礎を証明する書類(一般建設業)

    一般建設業では、確定申告書(決算書)または残高証明書(または融資可能証明書)が必要です。

    スクロールできます
    対象必要書類
    自己資本の額が500万円以上直近の決算書:直近の決算書の「純資産合計の額」が500万円以上あればOK
    500万円以上の資金調達能力
    (自己資本の額が500万円に満たない)
    取引金融機関からの残高証明書または融資可能証明書
    500万円以上の金額が記載されていればOK

    ただし、残高証明書は有効期限が1ヶ月と短いため、期限切れに注意
    建設業許可の財産要件:「自己資本の額が500万円以上」とは、資本金が500万円以上のことですか?

    いいえ。自己資本の額とは、「資本金」ではなく直近の決算書の純資産の合計が500万円以上ということです。

    建設業許可の欠格要件とは

    建設業許可は虚偽の申請や、過去の犯罪歴、暴力団と関係性をもつことなどを欠格要件とし、これらに該当すると許可を受けられません。

    具体的な欠格要件は、以下の1および2です。

    1. 許可申請書や添付資料に虚偽の記載をした場合
    2. 法人や、法人の役員(個人の場合は事業主または支配人)が以下の項目に該当
    • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
    • 不正の手段により許可を受けたこと等により許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
    • 許可の取消処分を逃れるために廃業の届出をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの
    • 建設業者が建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき等、または建設業者が請負契約に関し不誠実な行為をしたとき等により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
    • 役員、支店長、営業所長などに、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年未満の者がいる企業
    • 役員、支店長、営業所長などに、建設業法、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反し、または刑法等の一定の罪を犯し、罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年未満の者がいる企業
    • 役員、支店長、営業所長などに、暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年未満の者がいる企業
    • 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
    • 暴力団員等がその事業活動を支配する企業

    欠格要件は警察署と連携して徹底的に調査されます。
    審査の段階で欠格事項への該当が明らかになると申請が取り下げられ、手数料も戻ってきません。

    事前確認を十分にしておきましょう。

    5.誠実性とは

    建設業法では、誠実性について以下のように規定されています。

    請負契約に関して不正又は不誠実な行為をする恐れが明らかな者でないこと(7条3号)

    また、兵庫県のサイトでは以下のように説明されています。

    • 不正行為:請負契約の締結又は履行の際における詐欺、脅迫、横領等の法律に違反する行為のこと
    • 不誠実な行為:工事内容、工期、天災など不可抗力による損害の負担等について請負契約に違反する行為のこと

    普段から誠実に業務を行うことが大切と言えるでしょう。

    6.社会保険等への加入

    建設業許可を取得するには、健康保険、厚生年金保険、雇用保険等へ状況に応じて適切に加入することが必要です。
    下表は兵庫県の例です。

    スクロールできます
    許可の種類必要書類の例
    社会保険、厚生年金保険・保険料の領収証書または納入証明書の写し
    ・「健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書の写し」または「年金事務所へ届出済の被保険者資格取得届の写し」(新たに資格取得した場合)

    ・建設国保等に加入し、健康保険が適用除外の場合
    国民健康保険の被保険者証の写し、または加入証明書の原本
    雇用保険・労働保険概算・確定保険料申告書及び保険料納入の「領収証書」の写し
    ・労働保険料等納入通知書および領収書の写し
    ・受付印のある、雇用保険被保険者資格取得届の写し

    どのような業者が、どの社会保険等に加入すべきか判断が難しいと思います。以下を参考に、体制を整えてください。

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    社会保険労働保険
    組織人数年金医療保険労災保険雇用保険
    法人一人以上(労働者)厚生年金健康保険保険組合加入加入
    役員のみ厚生年金健康保険保険組合特別加入
    個人事業主5人以上厚生年金健康保険保険組合加入加入
    1〜4人国民年金国民健康保険保険組合加入加入
    一人親方国民年金国民健康保険保険組合特別加入

    その他

    スクロールできます
    許可の種類必要書類の例
    営業所・営業所の写真
    ・法人市民税納付領収書、法人事業税納税証明書(法人)
    ・個人事業税納税領収書、法人事業税納税証明書(個人)

    ・新規設立で1期未到来の場合
    法人設立届または個人事業の開業・廃業等届出書の、県税事務所/税務署受付印のある写し
    その他・定款
    ・登記事項証明書(商業登記している場合)
    ・事業税納付済額証明書
    ・事業報告書

    このように、建設業許可の取得には多くの書類が必要です。許可を取りたいと、一人親方からご相談をいただいても書類が揃わず見送ることも多いので、今のうちから準備をしておいてください。

    関連記事:建設業許可を取りたい人が今から準備しておくこと

    兵庫県の建設業許可の申請書類の様式

    兵庫県の申請様式等は、兵庫県の建設業許可申請等のダウンロードページからダウンロードできます。

    スクロールできます
    様式番号様式名法人個人
    第1号
     
     
     
     
     
    建設業許可申請書
    ・別紙1
    役員の一覧表
    ・別紙2(1)
    営業所一覧表
    ・別紙3
    収入印紙、証紙、登録免許税領収書又は許可手数料領収書はり付け欄
    ・別紙4
    専任技術者一覧表
    第2号工事経歴書
    第3号直前3年の各事業年度における工事施工金額
    第5号使用人数
    第6号誓約書
    -登記されていないことの証明書
    -身分証明書
    第7号常勤役員等証明書
    -別紙:常勤役員等の略歴書
    第7号の2常勤役員等を直接補佐する者の証明書
    -別紙1:常勤役員等の略歴書
    -別紙2:常勤役員等を直接補佐する者の略歴書
    第7号の3健康保険等の加入状況
    第8号営業所技術者等証明書
    第9号実務経験証明書
    第10号指導監督的実務経験証明書
    第11号建設業法施工令第3条に規定する使用人の一覧表
    第12号許可申請者の住所、生年月日等に関する調書
    第13号建設業法施工令第3条に規定する使用人の住所、生年月日に関する調書
    第14号株主調書
    第15号貸借対照表(法人用)
    第16号損益計算書・完成工事原価報告書(法人用)
    第17号株主資本等変動計算書
    第17号の2注記表(法人用)
    第17号の3附属明細表(法人用)
    第18号貸借対照表(個人用)
    第19号損益計算書(個人用)
    定款
    登記事項証明書(商業登記)
    例)履歴事項全部証明書
    第20号営業の沿革
    第20号の2所属建設業者団体
    第20号の3主要取引先金融機関名
    常勤性等の確認資料
    -社会保険等の書類
    営業所確認資料
    -営業所の写真など
    • ◯:必須の書類
    • △:該当する場合に提出
    • ⬜︎:変更があるときに提出

    以下の記事では、兵庫県で建設業許可を取得したい方に向けて解説しています。

    建設業許可申請をスムーズに進めるポイント

    建設業許可の申請は準備から許可取得まで3ヶ月で済めば順調といえますが、要領を得ない状態で進めると思ったよりも時間がかかったり、申請自体を見送ったりする可能性もあります。

    • 書類収集は時間がかかる
      • 10年以上の工事契約書や請求書、「登記されていないことの証明書」など、書類集めに時間を要します。事前にどのような書類が必要かを把握できれば、書類集めが楽になるでしょう。
    • 過去の勤務先への依頼が必要になることもある
      • 要件を満たすためには、以前の勤め先から許可証や工事請求書を借りる場合があります。過去の勤め先と喧嘩別れしたなどの場合は、書類が集まらない恐れもあります。

    まとめ

    建設業許可の要件と必要資料を説明しました。

    申請には多くの書類が必要なので多忙な中で用意するのは大変です。
    本業に集中できるよう、ぜひ行政書士の利用をご検討ください。

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