「経営業務の適正な管理体制」について図表で詳しく解説
「経営業務の適正な管理体制ってどういうこと?」、「経営管理責任者はどういう人が該当するの?」、「経営管理責任者とは違うの?」このような疑問をお持ちの方は多いと思います。
確かに、建設業許可の要件の一つである経営業務の適正な管理体制は内容が複雑でわかりにくいですよね。許可要件の中でも最重要で最難関です。詳しく解説していきます。
一緒に確認していきましょう。
建設業の「経営業務の適正な管理体制」とは
建設産業は、社会資本の整備を支える不可欠の存在であり、都市再生や地方創生など、我が国の活力ある未来を築く上で大きな役割を果たすとともに、震災復興、防災・火災、老朽化対策など「地域の守り手」としても極めて重要な役割を担っている。(国土交通白書 2020)
このように、建設業は社会において非常に重要な存在です。建設業許可においてその経営が適正に管理されているかどうかは重要な要素として考えられています。
では、「経営業務が適正に管理されている」状態とはどのようなことをいうのでしょうか。
「経営業務が適正に管理されている」状態を示す要件
「経営業務が適正に管理されている」状態は大きく分けて2つの方法で示します。
- 建設業の経営経験がある者を配置
- 経営を管理できる体制を構築
それぞれ解説します。
1. 建設業の経営経験がある者を配置
定められた年数以上の建設業の経営経験がある人を役員等に置くことで要件をクリア
経営経験 | 建設業の経営経験 | ||
---|---|---|---|
経営経験の地位 | 経営業務の管理責任者としての経験を有する者 | 経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務を管理した経験を有する者 | 経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者 |
役職などでの呼び名 | 役員、個人事業主、支店長、営業所長など | 執行役員など | 副支店長、営業所副所長など |
必要な経験年数 | 5年 | 5年 | 6年 |
根拠法令 | 規則第7条第1号イ(1) | 規則第7条第1号イ(2) | 規則第7条第1号イ(3) |
経営業務の管理責任者
- 原則として常勤であった者
- 業務を執行する社員、取締役、執行役等、個人事業主又は支配人その他支店長、営業所長等営業取引において対外的に責任を有する地位にある者
- 経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有する者
2. 経営を管理できる体制を構築
①定められた年数以上の経営経験がある人を役員等に置く + ②直接補佐する人
この体制で要件をクリア
①定められた年数以上の経営経験がある人
- 建設業に関し、2年以上の役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員又は役員に次ぐ地位にある者
(規則第7条第1号ロ(1)) - 5年以上役員としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員としての経験を有する者
(規則第7条第1号ロ(2))
②直接補佐する人
「財務管理」、「労務管理」、「業務運営」の業務経験(それぞれ5年以上)を有する者
①の者に加えて、②の者が直接補佐する体制を持つことが求められます。
この文言だけではちょっとわかりにくいと思いますので図で表してみました。
①建設業に関し、2年以上の役員等としての経験を有し、かつ、5年以上役員又は役員に次ぐ地位にある者(規則第7条第1号ロ(1))
建設業の役員等に次ぐ地位以上のポジションで5年以上の経験があり、この経験のうち2年以上は役員等のポジションであることが必要です(上図左側)。これに加えて財務管理、労務管理、業務運営をそれぞれ5年以上の経験を有する者(複数の者でも可能)が常勤役員を補佐する(上図右側)ことで要件を満たします。
② 5年以上役員としての経験を有し、かつ、建設業に関し、2年以上役員としての経験を有する者(規則第7条第1号ロ(2))
建設業に限らず役員等の経験が5年以上あり、この経験のうちで2年以上が建設業の役員等の経験であることが必要です(上図左側)。こちらも上記①と同様に、財務管理、労務管理、業務運営をそれぞれ5年以上の経験を有する者が常勤役員を補佐する(上図右側)ことで要件を満たします。
体制で満たす制度が設けられた背景
これまでは「経営業務管理責任者」という、いわゆる経管と呼ばれてきた人 1人の体制で要件を満たしていました。しかし、業界の高齢化や若手の人員不足などを受けて、複数人体制で建設業者の取引の安全を担保する制度が新たに認められました。
これらの要件が整っていることを客観的に示す書類で証明していきます。必要書類については以下の記事で解説していますので、詳細を知りたい方はご覧ください。
まとめ
今回は、建設業許可において重要な「経営業務の適正な管理」について解説しました。
重要であるにも関わらず内容はめちゃくちゃ複雑です。自社において要件が満たせているかどうかが不安な方は、許認可を専門とする行政書士などに相談することで疑問が解決する可能性があります。ご一考ください。