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    監理技術者、主任技術者の専任を兼務できるとき|兵庫県いしの行政書士事務所

    石野享
    いしの行政書士事務所 代表
    前職では医療機器メーカーで開発の傍ら薬事申請や業許可の管理に従事していました。

    そのときに許可の管理にかかる手間やストレスを強く感じていました。社会の基盤を支える建設業の皆様には書類作成のような雑務ではなく、工事に力を注いでほしいと考えています。本業に集中できるように当事務所がサポートします!

    監理技術者および主任技術者は、特定の条件を満たす工事をするときは工事現場に専任であることが求められます。この規定には例外があり条件を満たせば、他の工事現場との兼任が可能です。

    人手不足が深刻なので人のやりくりを効率的にできたら嬉しいですよね。

    今回は監理技術者と主任技術者の専任に関する規定について解説します。制度をうまく活用して、効率的に工事を進めてください。

    まず初めにテーマである、専任とはを説明します。

    専任は、以下のように説明されています。

    専任とは他の工事現場の職務を兼務せずに、勤務中は常時継続的に工事現場に係る職務にのみ従事していること。

    工事の技術上の管理や施工に従事する技術上の指導監督といった監理技術者、主任技術者の職務を考えると、当該工事現場で業務を行うことが基本と考えられる。一方で、専任の趣旨を踏まえると必ずしも工事現場への常駐を必要とするものではない。

    監理技術者制度運用マニュアル 一部抜粋

    目次

    監理技術者、主任技術者が工事現場に専任となる工事

    公共工事や公共性のある施設、多数の人が利用する施設に関する重要な建設工事で、請負金額が以下のときは、主任技術者または監理技術者は工事現場ごとに専任でなければいけません。

    • 一般工事:   4,000万円以上
    • 建築一式工事: 8,000万円以上

    このときの監理技術者は、資格者証の交付を受け、監理技術者講習を受講した者のうちから選ばなければならない。

    公共性のある施設や多数の人が利用する施設に関する重要な建設工事

    • 石油パイプライン事業法に規定する事業用施設
    • 電気通信事業法に規定する電気通信事業者が同条第四号に規定する電気通信事業の用に供する施設
    • 放送法に規定する基幹放送事業者または基幹放送局提供事業者が放送に使用する施設(鉄骨造または鉄筋コンクリート造の塔その他これに類する施設に限る。)
    • 学校
    • 図書館、美術館、博物館又は展示場
    • 社会福祉法に規定する社会福祉事業の用に供する施設
    • 病院または診療所
    • 火葬場、と畜場または廃棄物処理施設
    • 熱供給事業法に規定する熱供給施設
    • 集会場または公会堂
    • 市場または百貨店
    • 事務所
    • ホテルまたは旅館
    • 共同住宅、寄宿舎または下宿
    • 公衆浴場
    • 興行場またはダンスホール
    • 神社、寺院または教会
    • 工場、ドックまたは倉庫
    • 展望塔

      建設業法施行令 第27条

    専任を要する工事を兼務できるとき

    特定の条件を満たすと、専任でなければならない工事を兼務できます。

    専任特例① 以下の条件のいずれにも該当する場合

    1. 請負金額が、1億円(建築一式工事の場合は2億円)未満である
    2. 兼任する工事現場の数は2現場まで
    3. 下請次数は3次まで
    4. 工事現場間の距離:1日の勤務時間内に巡回が可能であること。かつ、工事現場で災害や事故が起きたときに工事現場間を移動するのに概ね片道2時間以内であること。移動手段は自動車を想定している。
    5. 監理技術者または主任技術者との連絡やその他の必要な措置をとる者(以下「連絡員※1」という。)を建設工事に配置している
    6. 監理技術者または主任技術者が、工事現場以外の場所から映像と音声により現場の状況を確認できるスマートフォンなどの情報通信機器を設置する
    7. 監理技術者または主任技術者が、遠隔から作業員の入退場が確認できるシステムで工事現場の施工体制を確認できる措置をとること。同システムは建設キャリアアップシステムが推奨されているが、他のシステムでも可能
    8. 人員の配置計画書※2を作成して工事現場に備え置くこと

    ※1 連絡員
    ・連絡員に求められる実務経験は、主任技術者に求められる実務経験と同じ
    ・土木一式工事または建築一式工事の場合は、同工事の1年以上の実務経験があること
    ・各工事に配置する必要があるが、同一の連絡員が複数の工事の連絡員を兼務することもできる

    ※2 人員の配置計画書

    • 当該建設業者の名称及び所在地
    • 主任技術者または監理技術者の氏名
    • 主任技術者または監理技術者の1日あたりの労働時間のうち、労働基準法第33条第1項の労働時間を超える者の見込みおよび労働時間の実績
    • 各建設工事にかかる次の事項
      イ 当該建設工事の名称および工事現場の所在地
      ロ 当該建設工事の内容(建設工事の種類)
      ハ 当該建設工事の請負代金の額
      ニ 工事現場間の移動時間
      ホ 下請次数
      ト 施工体制を把握するための情報通信技術
      チ 現場状況を把握するための情報通信機器

    専任特例② 補佐する者を専任で置く場合監理技術者のみに適用可能

    工事現場ごとに監理技術者を補佐する者専任で配置すること

    この場合に兼務できる工事現場の数は2つ以下です。

    補佐する者は次のいずれかを満たす必要がある。ただし、機械器具設置工事、さく井工事、消防施設工事、清掃施設工事の場合は、2に限る。

    1. 請負った建設工事の種類に係る主任技術者の資格を有する者のうち、1級の技能検定の第一次検定に同格した者。(1級施工管理技工士補、建設工事の種類に応じて指定された検定種別に限る)
    2. 請負った建設工事の種類に係る監理技術者の資格を有する者

    「監理技術者制度運用マニュアル」より引用

    まとめ

    今回は監理技術者、主任技術者の専任に関する規定を解説しました。

    一定の条件を満たせば、専任が必要な工事現場を兼務できます。建設業界は深刻な人手不足です。制度を上手く利用して、効率的に人を活用できる体制を構築していただけたらと思います。

    複雑な規定なので、より詳しく知りたい方は行政書士にご相談ください。

    目次