建設業許可申請の必要書類と手続きの注意点を詳しく解説|兵庫県
「建設業の許可を取得するためには、どんな書類を作らないといけないのかわからない。」、「手引きを見たけど、いまいち必要な書類がわからない。」建設業許可の取得を目指す方の中にはこのように思われている方がいらっしゃるかと思います。
確かに法律関係の資料は読みにくいし、内容も複雑なので理解するのはかなり難しいと思います。
今回は、建設業の許可を申請する際に必要な書類等について解説していきます。ひとつひとつ確認していきましょう。
建設業の許可に必要な書類
建設業許可の申請には多くの書類を提出しなければいけません。大きく分けると下記のように3種類の書類に分類することができます。
- 申請様式
- 証明書
- 確認資料
1. 申請様式:フォーマット
行政庁が作成した全国統一の書式、いわゆるフォーマットです。法人の場合や個人事業主の場合、後で解説する経管や専技の条件に応じて下表の中から自社に必要な書類を選択し、それぞれ作成していきます。かなり多くて見るからに大変そうです、、、
兵庫県の申請様式はこちらからダウンロードできます。
ダウンロード
様式番号 | 様式名 |
---|---|
第1号 別紙1 別紙2(1) 別紙2(2) 別紙3 別紙4 | 建設業許可申請書 役員の一覧表 営業所一覧表 営業所一覧表(更新) 収入印紙、証紙、登録免許税領収書又は許可手数料領収書はり付け欄 専任技術者一覧表 |
第2号 | 工事経歴書 |
第3号 | 直前3年の各事業年度における工事施工金額 |
第5号 | 使用人数 |
第6号 | 誓約書 |
第7号 別紙 | 常勤役員等証明書 常勤役員等の略歴書 |
第7号の2 別紙1 別紙2 | 常勤役員等を直接補佐する者の証明書 常勤役員等の略歴書 常勤役員等を直接補佐する者の略歴書 |
第7号の3 | 健康保険等の加入状況 |
第8号 | 専任技術者証明書 |
第9号 | 実務経験証明書 |
第10号 | 指導監督的実務経験証明書 |
第11号 | 建設業法施工令第3条に規定する使用人の一覧表 |
第12号 | 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書 |
第13号 | 建設業法施工令第3条に規定する使用人の住所、生年月日に関する調書 |
第14号 | 株主調書 |
第15号 | 貸借対照表(法人用) |
第16号 | 損益計算書・完成工事原価報告書(法人用) |
第17号 | 株主資本等変動計算書 |
第17号の2 | 注記表(法人用) |
第17号の3 | 附属明細表(法人用) |
第18号 | 貸借対照表(個人用) |
第19号 | 損益計算書(個人用) |
第20号 | 営業の沿革 |
第20号の2 | 所属建設業者団体 |
第20号の3 | 主要取引先金融機関名 |
2. 証明書:公的機関が発行する証明書
登記されていないことの証明書、身分(身元)証明書、履歴事項全部証明書など、公的機関から取得する書類です。有効期限(取得してから3ヶ月以内など)が定められているものがあるので、申請時期に合わせて計画的に取得する必要があります。
3. 確認資料:申請書の裏付け資料
経営業務の管理責任者の実務経験、専任技術者の実務経験などを客観的に証明するための書類です。建設業の許可証、決算変更届、建設工事の請負契約書、注文書などが該当します。
管理者の実務経験等は客観的に書類で示す必要があります。この書類集めが許可申請の最も大きな山です。ここを乗り越えられるかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。建設業に強い行政書士は色々なノウハウを使って要件を満たすように尽力してくれます。ご自身で申請を考えていて、どうしようもなくなった時は強い力になってくれるはずです。
ここからは、許可要件を証明するための具体的な方法を解説していきます。
経営業務の管理体制の証明
常勤役員等が、建設業に関し定められた期間の経営業務に関連する経験を、以下の内容により証明します。
- 経験年数の疎明
- 建設業を営んでいたことの疎明
- 常勤性
1.経験年数の疎明
- 法人の取締役・・・履歴事項全部証明書、(閉鎖事項全部証明書)
- 個人事業主 ・・・確定申告書(必要年数分)
- 執行役員等 ・・・取締役会議事録、辞令、組織図など
法人の場合は、履歴事項全部証明書などに取締役の名前とその期間が記載されています。個人事業主は確定申告書で証明します。
経営経験は組み合わせることも可能
例えば
法人で3年間 取締役として働いた職歴と、個人事業主としての3年間の経営経験を合わせて6年間とするなど、経営経験は組み合わせることが可能です。
2.建設業を営んでいたことの証明
- 許可業者 ・・・建設業許可証、決算変更届など
- 無許可業者・・・請負契約書、注文書、請求書など
許可業者であれば建設業許可証や決算変更届を示すことで足りますが、無許可業者の場合は請負契約書、注文書を必要年数分(例えば、5年以上分)集める必要があります。長期間の書類がきちんと揃っているかどうか自信がない人もいらっしゃるでしょう。また、以前に働いていた会社に書類を出してもらえるようにお願いすることもあるでしょう。
3.常勤性の疎明
建設業の適正な経営を担保するためには日常的に経営業務を執行することが求められますので、常勤である必要があります。
- 健康保険証
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
- 住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書
- 住民票
これらが主な書類になりますが、単身赴任であったり出向社員であるなど状況に応じて必要な書類が変わりますので確認が必要です。
経営業務の適正な管理体制についてこちらで詳しく解説しています。詳細を知りたい方はこちらもご覧ください。
専任技術者
適正な契約をするには工事に関して専門的な知識を持つ人が各営業所にいることが求められています。その人のことを専任技術者と呼び、専任技術者となる人が専門の技術を持つことと、各営業所にいるという専任性を証明します。
- 専門の技術を持つこと
- 専任性
1.技術者としての証明
- 有資格者を示す資料・・・合格証、免許証など
- 実務経験を示す資料・・・建設業許可証、請負契約書、注文書、請求書など
- 指定学科を示す資料・・・卒業証明書、履修科目証明書など
専任技術者となる人が国家資格をお持ちであれば最もスムーズに進められます。まずは社内に国家資格を持つ人がいるかどうかを確認してみてください。
有資格者がいない場合は実務経験で証明していきます。それには工事を施工した記録として、請負契約書や請求書などを用います。実務経験での証明では、最大で10年以上という請負契約書や注文書を集めなければいけません(10年前の注文書って社内にありますか、、、?)。
場合によっては実務経験で証明するよりも、新たに資格取得や有資格者を採用する方が近道となる場合もありますので最善の方法を探ってください。
学歴で実務経験を短縮
実務経験で専任技術者の要件を証明するには10年以上の実務経験が必要と説明しました。しかし工業高校や工業大学などを卒業していれば、10年以上の実務経験を年数短縮できることがあります。
専任技術者になる対象の業種に必要な卒業学科や履修科目が要件を満たしている必要がありますので、申請する窓口に確認しておきましょう。
2.専任性
経営業務の管理体制における常勤性とほぼ同じです。
- 健康保険証
- 健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書
- 住民税特別徴収義務者指定及び税額通知書
- 住民票
などが主な書類です。単身赴任や出向社員などの状況に合わせて申請書類が異なりますので申請窓口で確認して進めていきましょう。
専任技術者についてこちらで詳しく解説しています。詳細を知りたい方はこちらもご覧ください。
経営業務の適正な管理体制と専任技術者をクリアできれば要件をほぼ満足したといっても過言ではありません。残りの項目も確認していきましょう
財産的基礎
建設業者は資材の購入や労働者の確保などに必要な資金を確保しておくことで経営を安定させ、発注者や下請業者の保護を図ることが求められています。
それを満たすためには以下の要件をクリアすることが求められています。どのような書類が必要か確認していきましょう。
自己資本の額が500万円以上
直近の決算書の純資産合計の額が500万円以上あればOKです。
- 建設業許可の要件の一つである財産的基礎の「自己資本の額が500万円以上」とは、資本金が500万円以上のこと?
-
自己資本の額とは、「資本金」ではなく直近の決算書の純資産の合計が500万円以上ということです。
500万円以上の資金調達能力
自己資本の額が500万円に満たないときは、取引金融機関からの残高証明書により証明します。残高証明書を取得した時点で、500万円以上の金額が記載されていればOKです。
残高証明書は有効期限が1ヶ月と短いため、申請時に期限切れとならないようにタイミングを合わせて取得しましょう。
直近5年許可継続
5年ごとの許可更新時にも財産的基礎が確認されます。5年間許可を継続できていればクリアです。
営業所
営業所には、建設業を営むための最低限の設備が備えられているか、使用権限があるかを示す資料を提出します。
- 営業所の写真
- 不動産登記簿謄本
- 家屋の賃貸借契約書
などを提出します。
社会保険の加入
雇用保険、健康保険、厚生年金保険等に適切に加入していることが要件とされています。
これには若者の業界参入を促進することが背景にあると言われています。
以下のような資料を提出します。
- 健康保険・厚生年金保険資格取得確認及び標準報酬決定通知書 コピー
- 健康保険及び厚生年金保険の保険料の納入に係る「領収証書」 コピー
- 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得届(年金事務所へ届出済のもの) コピー
その他の書類
- 定款
- 登記事項証明書
- 都道府県事業税の納税証明書
これらの資料を必要に応じて提出します。
まとめ
今回は建設業許可の申請に必要な資料について説明しました。
資料は非常に多く、地域によって必要な書類も異なったり実状況に合わせた資料を揃えたりするのはとても大変です。計画的に許可を取得したいという方は、行政書士などの許認可の専門家への代行をご検討されるのも一考かと思われます。